Wednesday, 30 March 2011

NEVER LET ME GO

長崎生まれのイギリス人作家、カズオ・イシグロの小説『わたしを離さないで』が映画化され
先週から公開されたのでさっそく観てきました。

原作ははわたしの本棚の一番目につきやすい場所においてあって
初めて全部読み終わった日、しばらくぼーっとしてしまったことを覚えています。

その感覚を覚えてるから
原作の、抑揚をおさえつつ読者の心にゆっくりと言葉が染み込んでくるような「ですます調」で語られる
独特な物語の雰囲気をどう映画で再現するのか、とっても興味がありました。

ノルウェイの森のときみたいな「え、ちょっと映画化してだいじょぶ?」という不安は
今回自分の中で全くなかったです。何故だ!


キャシー(C.マリガン)、ルース(キーラ・ナイトレイ)、トミー(A.ガーフィールド)は
「ヘールシャム」と呼ばれる外界とは一切遮断された寄宿学校でずっと一緒に過ごしてきました。
第一に健康であることを強く要求されているヘールシャムの生徒たち。
「あなたたちは特別な存在」そう、彼らの生にはある真実が隠されているのです。

18歳になって寄宿学校を出た3人は農場のコテージでの共同生活を始めるのですが
ルースとトミーが恋人同士になったことでキャシーは孤立してしまい、3人の関係には亀裂が生じます。
全員がばらばらになってしまった後、それぞれが自らの使命を受け入れてまっとうしようとするも
「オリジナル」「コピー」「提供」「終了」・・というワードが示す彼らの運命は
あまりにも残酷すぎるものでしたーーー。


わたしの大大大好きなキャリー・マリガンちゃんが出ている・・
ただそれだけで鑑賞前から満足度は4割増し決定だったけれど(高)、
彼女ってばやっぱりすごかった。台詞を言わずとも観客に感情を、物語を理解させる。
そのパワーったら凄いです。

そうそう。
マリガンちゃんといえばちょっと前に
イートン校→ケンブリッジ大トリニティカレッジ卒という眩しすぎる学歴と美しすぎる容姿を持つ
イギリス人俳優のエディ・レッドメインとのツーショットをパパラッチされたのですが
たまたまファッション誌を立ち読みしていたときにその記事を初めて目にしたわたしは
「なんてウルトラキュートなカップルなのー♥元カレのシャイア・ラブーフの何倍もお似合いじゃない!」
と、リアルに本屋で興奮したのでした。

・・・そんなことはどうでもよくて。

あ、そういえばウォールストリートまだ観てないや!!

・・・じゃなくて!

えーと、そんなマリガンちゃん扮するキャシーたちの生きる世界というのは
「画期的な医療技術のおかげで難病を治すことが可能となり、人々の平均寿命が100歳を越えている
1970ー90年代のイギリス」であり、彼女達は「臓器を提供する為につくられた存在」
・・・というなんともSF的設定。

原作に書かれている様々なエピソードが、映画ではバッサリと省かれているため
映画の中で「臓器移植・クローン」という問題はあくまでも
「運命を受け入れることしかできない主人公たち」を強調する背景的な要素として使われているに過ぎず、
それゆえに映画版『わたしを離さないで』は
儚くも美しいラブストーリーとなっていたのでした!!!と声を大にしてわたしは言うよ。
(原作はもっと複雑だし重いし泣ける)

自分が何のためにつくられたのか、何をしなければならないのかを知っている。
だけれど側には好きな人がいて、やっぱり少しでも長く生きたいと思う。
初めて抱いた小さな希望が破れてトミーが叫ぶところ、心臓が痛くなりました。

イギリスの水色と灰色で覆われた美しい風景が余計にかなしい余韻を残す映画です。