Wednesday, 7 December 2011

Neuschwanstein Castle

ドイツはミュンヘンに観光にやって来た人の殆どが観光2日目か3日目に訪れる場所。
東京ディズニーランドにあるシンデレラ城のモデルとなったといわれる場所。
といえばピンとくる方々も多いはず。
オーストリアにほど近いバイエルン州の山奥にひっそり佇む、白亜の城ノイシュバンシュタイン城。

ミュンヘンは思ったよりコンパクトな街で、滞在日数が余ってしまいそうだったので
せっかくだからわたしもお城まで行ってみたいな、と思いつきました。
突然のひらめきだったので、わたしたちはお城について何もしりません。
パソコンでお城の情報収集しようにもネットの調子が今ひとつ・・・
そこで宿泊先のホステルのいけめんスタッフへ助けをもとめることに。

「 イクスキューズミー、ノイシュバンシュタインキャッソーへ行きたいんですけど」と質問。
するとわたしの「ノイシュバンシュタイン」の発音がよろしくなかったらしく
いけめんに「うん?何のキャッスルだって?」と聞き返されてしまったので

「ナイーン!ミュンヘンに住む人みな知ってる!白くて・大きくて・とても有名なキャッソー!
そう・・・ルートヴィヒ!何代目かのルートヴィヒによって建てられたキャッソー!」
と、わたしの中のお城に関するありとあらゆる知識(殆どゼロ)をふりしぼり必死に説明すると

「ヤー!ヤー!ノイシュバンシュタイン!」といけめんは真っ白な歯を見せて微笑み
丁寧に行き方を教えてくれました。

翌日。
いけめんによる情報通り早起きして朝8時過ぎの電車に乗り込み、一路お城を目指すわたしたち。
ミュンヘンから電車で2時間ちょっとのフュッセンという場所からバスでさらに移動すること数十分。
こんなかわいらしいお土産やさんの前でバスを降ろされ、
バスに乗っていた全員がぞろぞろと向ったのは・・・

こちらのチケット売り場。山の麓のこちらでしか入場券が買えないとのこと。
着いてみたらその日本人観光客の多さにびっくり。
そりゃそうですよね、シンデレラ城のモデルですもんね!!

お城まではバスで約5分、馬車で約20分、徒歩で30-40分。
バス代も馬車代も惜しいわたしたちは、(しぶしぶ)徒歩を選択。
ゆるやかな坂をひたすらに登って行きます。

しかし。しかしですね。

山登り最中のわたしたちには、お城の気になる点があったのです。
チケット売り場からお城があると思われる山の方面を見たとき
確かに
そこにはノイシュバンシュタイン城と思われる建物が小さく存在しているのが見えたのですが
わたしたちの目が節穴でなければ、
そのお城はどうやら工事中に見えたよう・・・な・・・?

あれ??


考えてみれば、観光シーズンまっさかりの夏はとうに過ぎ去り、雪も降っていない今
もしかしたら最高のお城修復シーズンなんじゃないか・・・。
いや、でも工事中だったらチケット売らないだろう。
うん、そうだよね。お城の中だけ見れても意味ないしね。
と、ぶつぶつ言いながら山登り。

到着して、目の前にどどんと構えるお城をまじまじと見てみる。

どどーん。めっちゃ日陰!!!

ふむ。正面は普通である。
しかしやはり、わたしたちがみたように、お城の左腰骨辺りからお尻にかけての部分は
絶賛工事中でありました・・・。この写真のちょうど右側。
そう、葉の落ちた木々によって工事中の箇所はなんとなーく隠れているため
正面からお城を捉えた記念の写真撮影に大きな支障はきたさないのです。
それでも斜め後ろからみるとばっちり修復用の足場が組んであるよ...。
この事実により、お城到着時の感動は40%減。

それでも山の上からこんなのどかな景色を見たら、
お城が一部工事中でもまぁいいじゃないか・・・という寛大な気持ちになりました。
広がる湖の青色が、ものすごく綺麗だった。

せっかくなのでお城の入り口で記念撮影。

門をくぐってみると、たしかに白い壁に青い屋根。おぉぉこのお城、本当にシンデレラ城っぽい!
(本当はシンデレラ城がこのお城っぽいのである・・・)

城内にはチケットを持っていても勝手に好きな時間に入ることができません。
ガイドツアーへの参加が鉄則な為、言語別にグループに分かれ、決められた時間に入場するのです。
わたしたちは英語のガイドさんを指名したのでイギリス人や香港人と一緒にまわることに。
後に続いていたのはチームイタリアと母国ニッポングループ(他を圧倒する人数)でした。

このお城、建てられたのは19世紀ということでまだまだ新しいお城。
中世の生活様式に強い憧れを持っていたバイエルン王ルートヴィヒ2世が
自己の憧れを具現化するため中世様式のお城をそっくり再現させて造ったそうな。
知らなかった。もっと古いものとばかり思っていたよ!

城内はたしかに中世風のどこかノスタルジックなデザインのお部屋から
当時の最先端技術を駆使して作られた、ライトの色が自動的にかわる小さな人口洞窟まで
遊び心あふれる造り。

部屋の中で一番印象に残っているのは
中世騎士道文学の名作「トリスタンとイゾルデ」の一場面が大きく描かれていたお部屋。
何を隠そうわたしも「トリスタンとイゾルデ」の話が大好きなのでものすごーく感動。
「王!わたしもアーサー王物語大好きです!」と、勝手に王様に親近感を覚える・・・。

ルートヴィヒ2世は19世紀ロマン派を代表する作曲家、歌劇王リヒャルト・ワーグナーの
熱心なパトロンだったということもあり
ワーグナーのオペラ作品「タンホイザー」や「ローエングリン」の場面が描き出されている広間も。
そういえばワーグナーは「トリスタンとイゾルデ」もオペラにしてるしね!


自分の好きなもの・興味のあるものがすこしずつ繋がってるって本当にうれしい。

ずっと行きたかったお城に来てみたら
思いがけず大好きな本の一場面に出会えたり
勉強した暁にぜひ一度観たいと思っているオペラの一場面に出会えたりして
点と点が線になっていく・・・というか
一見とっちらかった様に見えるわたしの趣味に共通点を見つけられて、そういうことが続くと
好きっていう気持ちが一層強くなります。ふふふ。


そうそう、バイエルン王ルートヴィヒ2世に話を戻して。
彼は悲しい最後を送った王様。
普仏戦争後、弟が精神病にかかると、王はすっかり塞ぎ込んでしまい人と関わらない生活を好むように。
部屋に引きこもり、食事は常に1人で食べ、昼夜逆転の生活を送り・・・
いつしか王自身も精神病で統治能力がないという理由から、廃位されてしまうのです。
その為王がノイシュバンシュタイン城にて過ごしたのはたったの172日。
そして廃位の翌日に幽閉先近くのシュタルンベルク湖でルートヴィヒ2世は謎の水死を遂げたとか。

・・・王!!!

間違いなく彼は今わたしの気になる人ベスト5に入る人物です。伝記本買おう。伝記本。うん。


ツアーの終わりには、後ろにいた人達から「もっと大きいと思ってたのに結構小さくてがっかり」
なんて声もちらほら聞こえてきましたが
ルートヴィヒ2世という悲劇の王様(一般には狂王と呼ばれるらしい)のことが知れただけでも
わたしは大満足です。

相変わらず悲劇とか悲運とか、悲しいムードの主題が大好きなんだな、わたし・・・。


お城の横でお行儀良く次のお客さんを待ってくれている馬さんたちに
「おつかれっす!」と心の中で挨拶しながら向ったのは、チケット売り場の陽気なおじさんが
「絶景だよー、行かなきゃソンだよ!」と言っていたマリエン橋。

その吊り橋からみるお城の様子はよく雑誌やパンフレットなんかにも掲載されており
お城のベストアングルを撮るならマリエン橋!って感じらしいのです。

実際のマリエン橋は揺れる吊り橋。歩く度に床の木がミシミシと音を立て
ちょっと大きな人がジャンプしたらその勢いで橋が壊れてしまうのでは・・・
という恐怖すら感じたのですが、お城の眺めはおじさんの言う通り素晴らしかった。

わはは。
お城の後ろがばっちり映るため補修工事の足場が丸見えとなっている点には目をつぶってくださいね。
この写真を撮ったのは午後3時くらいだったと思うのですが
真っ暗な影が映り込んでしまい残念。
お城に影がかかるなんていやだ!もっといい写真を撮りたい!と思われる方は
もう少し早めの時間に訪れたほうがよいとおもいます。

橋からお城の反対側をのぞけば、こんな光景。
結構高いとこまで来てしまったみたい!

そんなに高い所を好まず、常にできるだけ地面に足をつけていたいわたしは
「さぁお城も観たし帰ろう帰ろう」と提案したのですが
やっかいにもこの山の雄大な自然はアウトドア派な連れの好奇心を見事に刺激してしまったらしい・・・。


連:「そんな帰るなんて。ほら、橋の向こうに山があるじゃないか。あの山に登ろうよ!」

み:「えっ、あの本格的な山を?・・・嫌だ!」

連:「さぁ!そこに山があれば、みみこだって登ってみたいと思うだろう?」

み:「・・・すみません思いません」

連:「カモーン。君は常になるべく動きたくないという怠惰な意識が働いて
無意識にも一番運動量を必要としない行動を選択している。
そのせいで、ロンドンにきてから何キロ太ったと思っているんだ。」

み:「ノーン!それ言うの反則!」

連:「あの山に登れば、きっと今日の昼に食べたホットドッグとビール分のカロリーは消費される。」

み:「ここ来るのに30分歩いたからそれでもう消費されたよ!」(本当か)

連:「何年か前にマウントフジに登ったって言ってたじゃないか。君の山への情熱はどこへ?」

うんぬん、たぶん今日一番どうでもいい会話を繰り返し・・・

その結果。



不本意ながら山、登った・・・。

全く笑っていないわたしの顔と謎のポーズが、そのときの気持ちを如実に表している。
「こんな山、登りたくなんてなかったわよ!」

この数分後、山の通り道はすっかり消え、道なき道を行かなければならない
まさに山deサバイバル状態となってしまったため
さすがに底がツルツルの安ブーツで登るのは困難と判断し、わたしはリタイア。

しかしそこに山があれば登りたくてしょうがない連れは
フレッドペリーのたいそう可愛いスニーカーを真っ黒にして山の頂へと登り
最後の方はそれこそ本当に「転げ落ちるように」下界へと戻ってきました。

靴もジーンズも真っ黒、ニットの手袋は穴だらけでボロボロ。

「オォォ****(←放送禁止用語)」
「死ぬかと思った!こんな山、登るんじゃなかったよ!」

・・・だから言ったのに。


あれ?えーと?

なんだか旅の最後は
お城レポートというより山登り日記みたいになってしまったんですけど?

うおっほん。


工事中 それでも公開 狂王の城 山登りには どうぞお気をつけて
(字余り、みみこ心の短歌)


・・・え?なんですか?

(●´ω`●)


日本人に絶大な人気を誇るドイツロマンチック街道の終点、ノイシュバンシュタイン城。
1年も経たない間に主を無くした城。
莫大な費用をかけ、王の好みの物で埋め尽くされたそこは
心の拠り所がなかった王の、夢の隠れ家だったのかもしれません。

王の生涯を知れば、そのきらびやかな城内の装飾の数々はわたしたちの目に寂しげに映るのです。