Monday, 9 January 2012

Le Marchand d'oiseaux

映画のことばっかり書いて、本のことは全く取りあげてなかった・・・。うぅぅ。
今年は好きな本もなるべくたくさん感想を残しておきたいです。
(と自分に言い聞かせる)

というわけで、こちら。仏作家ロベール・ブラジャックの『パリの小鳥売り』


1930年のパリ。主な舞台はセーヌ川左岸14区のモンスーリ公園と、バリ国際大学村の周辺です。

お金儲けには興味がなく、小鳥をなによりも大切にしている小鳥売りの老人、
スラム街に住むくず屋の少年、
夜になると空想の中の怪獣と会話する大学生イザベル、彼女の友人ダニエルとローラン。
愛想のない食料品店の店主マダム・ルプティコール、2人の貧しい子供。

ふわふわとした美しい文章で綴られるみんなの日常は、いつの間にか小さな幸せで溢れ出します。
しかしそれは儚い一瞬の幸せでしかなかったのです。
物語の後半で、わたしたちは突き放された気分になる。運命とは残酷なものだと。

パリでそれぞれに暮らす人々が出会い、つながり、別れていく。
そしてまたいつもと変わらない一日がやってくる。

「あらゆることは忘れ去られる。あるいは、あらゆることは記憶の中にとどまるといってもよい。
けっきょくそれは、同じことだ。」

本の中からじわじわと溢れ出す無常観はひたすらに哀しい。正論だけど。


作者のブラジャックは、この作品を発表してから数年後、第二次世界大戦下のフランスで
ファシスト新聞の編集者となり反ユダヤ主義的発言を並べて当時のナチス体勢を賛美したことから
対独協力者として収監されてしまいます。
その後はわずか20分の審理のあと、その日のうちに死刑判決を受けました。
カミュ、コクトー、コレット、ポール・ヴァレリーなどそうそうたる文学者の面々が
ドゴール大統領にブラジャックの助命嘆願を申し入れるも
大統領はこれを拒否し、刑は執行されたそうです。

『パリの小鳥売り』に見られる無常観は
後のブラジャックを待ち構えていたこうした運命に、彼がどう対峙したかを不思議と予感させる・・・。

なぜなら物語りの最後のページで、彼はこう綴っているからです。

「幸福であれ、不幸であれ、人生におけるあらゆる出来事を受け入れなければならない。
みずからの運命に逆らうことなく、運命を愛さなければならないのだ」と。



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