Tuesday, 10 January 2012

MORGIANA

今日観みたのは、1973年のチェコスロバキア映画『モルギアナ』です。
ゴテゴテ盛り盛りのゴシックムービー!!!
今は存在しない、チェコスロバキアという国で作られた映画の魅力は計り知れない・・・。

お話は極めて単純明快。
主人公は性格のひん曲がった姉ヴィッキーと、美しく無邪気な妹クララの2人。
ストーリーは亡くなった彼女達の父の遺言から始まります。

「財産の殆どを妹クララに与えよ」

この出来事をきっかけに姉ヴィッキーは誰からも愛される人気者の妹に対して
とてつもない憎しみを募らせてゆき、ついにはクララを毒殺しようと考える・・・

それ以外にも使用人に岩の破片を投げつけて怪我させたり
とある女性を断崖絶壁から突き落としたりと、非道なことを次々やってのけるヴィッキーという女は
全く、まっったく人気がない、可哀想な人。家に来る男はみなクララ目当て。友達も居ないみたい。
使用人の男性の前で生着替えをし、誘惑してみようとするも「ケッ」と鼻で笑われる。(ガーン!)
男にちょっとすり寄ってみようものなら、恐るべき早さでかわされる。(ガーン!!)
・・・こっ・・これはヴィッキーでなくても女性は結構傷つくんじゃないかしらねぇ・・。
映画の中盤、弱ってゆく妹に対して申し訳なさそうな顔を見せるシーンもあったりして
お話の最後のことも考えたら、ちょっとだけヴィッキーに同情できたりもする。

そうそう、映画のタイトル『モルギアナ』はヴィッキーの飼っている
青い目のウルトラ可愛いシャム猫ちゃんの名前であります。
「魔女は猫を飼っている」っていうイメージと、関係あるのかな?と1人思ったり思わなかったり。

映画のノリはお昼の茶の間で流れるサスペンスドラマのヨーロッパ版といったところでしょうか。
目新しい展開は何も無し。スリリングな出来事が待ち構えているわけでもありません。
ただ、使われる音楽が「火曜サスペンス劇場」級のセンセーショナルサウンドなので、
それなりにムードは出ています。

そしてなによりも、この映画の一番の見所はやはりビジュアルではないでしょうか!
同国の伝説映画『ひなぎく』のスタッフが製作に携わっているからか
画面から溢れ出すのは、往年の少女漫画のような、めくるめく女の子の世界。


バッサバサの睫毛に驚く程太いアイライン、しっかりひいた口紅、
ゴージャスすぎるドレス(たまに悪趣味)、盛り盛りのヘアスタイル!
「ちょっとやりすぎてる」感が観ててとっても楽しいのです。
家具や食器もめちゃめちゃ凝ってて、細部までぬかりありません。
毒薬したたる小瓶、ブチブチっと切られるパールのネックレス・・・小物も完璧でありますぞ!!

もう1つ面白いなと思ったのは
ヴィッキーとクララを同じ女優さんが一人二役で演じていたこと。
双子でなく姉妹の設定なのに、なんでまたそんなことをしたのかしら?と少し調べたところ
IMDbのレビュー欄で興味深い記事を発見。
この映画には原作があるそうです。ロシアの作家Alexander Grinの"Jessie and Morgiana”という小説。
この物語の中で、2人の姉妹というのは実は1人の女性であった・・・
つまり、解離性同一障害の女性が生み出した、他人格であったのだそう。
しかし検閲厳しい社会主義の下、物議を醸し出すようなキャラクターを映画に登場させる訳にはいかず
1人の女性という設定は2人の姉妹に変更されました。
それでも監督はできるだけ原作に沿った作品を撮りたい、と、女優さんを一人二役で起用したそうです。

小説"Jessie and Morgiana”がどんなお話なのか読んでみたいなー。
と思ったのですが、英訳も日本語訳の本も出ていない模様・・・。ますます気になる。
ロシア語ができたら、読めたかもしれないのに!

原作者Alexander Grinという人はロシア社会革命党の党員として革命プロパガンダを行った疑いで
逮捕されたり逃げ隠れを繰り返したりしていた人物であったこと。(ざっくりWiki先生情報)
そして
チェコスロバキアの映画製作陣は、彼の小説のキャラクターを変更せざるを得なかったこと。
この2点を考えれば、
一見ただのB級サスペンス映画『モルギアナ』にも
実は『ひなぎく』のような反体制メッセージが込められているのではないかしら?

詳しい時代背景や小説の内容やら何も調べてないまま言い放つ勝手なひとりごとに過ぎないけれど。
わたしは今、学校の図書館に行って参考文献を探したい、そんな衝動に駆られています!
(見つけられるのか謎)

ひとつの映画に、思ってもみなかった製作のエピソードを発見すると
作品の見方がぐぐんと変わりますよね!
そういった意味でも『モルギアナ』はわたしにとってとっても興味深い映画です。