Thursday, 24 May 2012

Barbier×Laboureur -the birth of Art Déco-

繊細でカラフルで、大変に魅惑的なイラストをかいていたフランス出身の挿絵画家ジョルジュ・バルビエ。
素晴らしい作品の数々と裏腹に彼の知名度はいまひとつ、伝記や詳しい資料なども見つからず
わたしにとってミステリアスなアーティストのひとりでした。
今年の2月には彼についてもっと知りたいというブログ記事を書いていたほどに
バルビエという人物が気になって仕方なかったのです。

そしたらなんと、偶然か必然か
練馬区立美術館にて『バルビエ×ラブルール展 アールデコ、色彩と線描のイラストレーション』
が開催されているというではありませんか。

ともにフランスはナント出身でアールデコ期の挿絵画家である
ジョルジュ・バルビエとジャン=エミール・ラブルールの展覧会。

これは仏文学者鹿島茂氏の所有する膨大なバルビエコレクションを観ることができる大チャンス。
絶対に絶対にいかなければ。

はやる気持ちを抑えて池袋から黄色い西武線の電車に乗り、辿り着いたのは閑静な中村橋の住宅街。
子供たちとママ友であふれ返る通りの先にあった
静かな美術館内のガラス越し、細やかで鮮やかなバルビエのイラストを目にしたときの高揚感といったら!


『真夜中!または、流行のアパルトマン』
Minuit!..ou l'appartement a la mode


『君、背中を見せすぎだよ』
Le Grand Decolletage

『ケシ商人の家にて』
Chez la Marchande de Pavots


当時の高級モード誌"Gazette du Bon Ton"(後にVOGUEに吸収される)に掲載されたファッションプレートや
カサノヴァの舞台衣装などももちろん素晴らしいのだけれど

作家ポール・ヴァレリーが

「私の漠然とした言葉が
抽象の中で神話を語るあいだ
バルビエはそれを一筆でとらえる
イメージによる虚無の征服者よ!」

という詩を残しているように、挿絵画家としてのバルビエの作品は群を抜いて素晴らしい。

彼の最高傑作とも名高い『ビリチスの歌(Les Chansons de Bilitis)』の挿絵
モーリス・ド・ゲランの『散文詩(Poemes en Prose)』の挿絵
徹底したロココ趣味が目にも眩しいポール・ヴェルレーヌの『艶なる宴(Fetes Galantes)』の挿絵
・・・・
本のページに加えられた彼の絵は
言葉で紡がれた物語を読む人に的確な解釈を与えると同時に果てしない想像力を与えてくれます。
時代は移り変わっても、彼の作品は普遍的に新しい。
線の細やかさや色使い、どれもこれもが好みすぎて困っちゃうくらい。


1988年、神田の古書市で見つけたジョルジュ・バルビエの絵との出会いの衝撃を
「まさにマノン・レスコーに魅入られたシュヴァリエ・デ・グリューのそれに等しかった」と表現し
それからバルビエの作品を無我夢中でコレクションし始めたという鹿島氏の気持ちがよくわかります。
(こら、畏れ多いぞ!)


そうそう、バルビエは1905年から3年間程ロンドンに滞在してオーブリー・ビアズリーの影響を受け
Edward William Larryというイギリス風のペンネームで絵をかいていたそう。
その後「やっぱり実名の方がかっこいいやね!」と、
ペンネームから本名のジョルジュ・バルビエに戻すのですが
この時名前の"Georges"を"George"とちょっぴりイギリス風に表記することにし
それがその後ずっと定着しているのだとか。
ふふふ。こういうエピソードをわたしはずっと聞きたかったのですよ。

ビアズリーの系譜をしっかりと受け継ぎながらも
より華やかでより複雑で、より異国情緒あふれる独特の作品を多く残したジョルジュ・バルビエ。

バルビエなくしてアールデコなし。

やっぱり彼はアールヌーボーにおけるミュシャやロートレックと同じ位に有名であって然るべき人なのだ。




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