Monday, 11 February 2013

UN AMOUR DE JEUNESSE/GOOD BYE, FIRST LOVE


3月にイメージフォーラムで上映されるフレンチ・フィメール・ニューウェーブ特集の中の1本
ミア・ハンセン=ラヴ監督の『グッバイ・ファーストラブ』。

透明できらきらとした水のような、はたまたもぎたての果物のような。
とにもかくにも、初恋のみずみずしさが画面からあふれだしている映画でした。


1999年2月。灰色のパリの街を自転車で走り抜ける青年。ベッドに裸で寝そべっている少女。
家に着いた彼は、彼女に一本の赤いバラをプレゼントする。
15歳のカミーユと19歳のスリヴァン。大人びた様子の、愛し合う2人。
ところが幸せな時間は長くは続きません。
緑燃ゆる眩しい夏を共に過ごしたあと、スリヴァンは退学して南米へと旅に出てしまうのです。
彼からの手紙も数ヶ月後にはぱったりと届かなくなって、すっかり落ち込んでしまったカミーユ。
心がえぐられたようで、何をしても悲しい。ただただ悲しい。
春が来るころ、彼女は耐えきれず自殺未遂をおこしてしまいます。

それから4年後。
大学で建築を学ぶようになっていたカミーユは恩師でもある建築家のロレンツと恋に落ち
一緒に暮らし始めました。
やっと永遠に続く愛を見つけたと思った矢先
カミーユの前にかつての恋人スリヴァンが突然現れてーーー。

あらすじだけを見れば、これはきっとありふれた物語。
しかしこの映画は10代の頃の初恋を「美しい思い出」にはしてくれません。
ジーン・セバーグを彷彿とさせるショートヘアで大学の授業にやってくるカミーユは
過去と決別した女性のようにも見えるのに
昔のように髪の毛が伸びたころスリヴァンがやってきて
昔のように愛し合い、そして昔のようにまた失う。

監督自身の体験をもとにつくられた作品というだけあって
カミーユとロレンツの関係はミア・ハンセン=ラヴとオリヴィエ・アサイヤスのそれをすぐに連想させるし
主役のローラ・クレトンはアサイヤスの『五月の後』にも出演していたし
そういう小さなつながりが、たまらなく嬉しいと思える映画だった。
(ローラ・クレトンはレアちゃんばりに不機嫌顔が最高に美しい次世代のフランス人女優である!)

わたしが15歳のときはこんな大人びた恋愛なんて知らなかったから
過去の自分とスクリーンの中のカミーユが重なるシーンなんてひとつもないはずなのに
不思議と、観終わったとき「これはわたしたちの映画だ。」と言いたくなりました。

光と闇。都市と自然。定住と永遠の旅。手紙と携帯。少女と女性。
様々な対比がなされるこの映画の中で、喪失はいつまでたっても喪失のまま。
新しいものを見つけても、それで無くしたものが埋まったわけではないのです。

「いつまで彼のことをひきずってるつもり?」

それでもカミーユは、わたしたちは
川の流れに身を任せるように、一度きりの人生の波にゆらゆらと揺られてゆく。
美しいラストシーンのようにね。